CF23 (2023年度大会参戦車両)
2023年度車両「CF23」は、「靱+Functional」を車両コンセプトに開発を行って参りました。「靭」の部分には早期シェイクダウンを行い走行を重ね、信頼性のある強靭な車両を目指すという意味が込められています。また、「Functional」の部分には調整機構を増やすことで多彩なセッティングが出来、操作性に優れた車両を目指すという意味が込められています。
◆マシンの特徴
シャシー
新設計のスタビライザーを導入し、セッティング時間の短縮化を行いました。また、軽量なダンパーの導入を行い基本運動性能の向上を図りました。さらにアップライトにも手を加えキャンバー角変更作業の簡易化を施しました。
パワートレイン
可変吸気機構を搭載し、高回転域と中回転域のパワーの両立を図りました。また、プリロードの変更が可能なデファレンシャルギアを導入し、セッティング幅を拡大させました。さらに、ラジエータやファンシュラウド、燃料タンク、ドライブチェーン、エンジンマウント等各所に改良を施し、高い信頼性を得ることができました。
エアロデバイス
フロアのダウンフォース増大と三次元翼の採用によってより効果的なウィングへと進化させました。その他にもリアブレーキの 2pot から 4pot への変更や、ECU マップの再調整等多くの改善を行いました。
また、エアシフターや形状変更したサスペンションブラケット等、最終的には搭載を断念したものの来季に繋がる知見を得られたパーツもありました。
CF23主要諸元
全長 / 全幅 / 全高 | 3106 mm /1415 mm /1175 mm |
ホイールベース | 1800 mm |
前/後 トレッド | 1200 mm / 1200mm |
車重 | 273kg (60kgDriver) |
エンジン | YAMAHA YZF-R6 |
排気量 | 599 cc |
フレーム | スチールスペースフレーム |
カウル | CFRP |
サスペンション | 不等長・非平行ダブルウィッシュボーン,プルロッド式 |
変速機 | 機械式シフト (クイックシフター) |
最高出力 | 57.1 kW (77.6 PS) / 11,400 rpm |
最大トルク | 55.8 Nm / 9,800 rpm |
ホイール | F: 10inch 8J Braid R: 10inch 8J Braid |
タイヤ | F: Hoosier 16.0×7.5-10 R20 R: Hoosier 18.0×7.5-10 R20 |
CF22 (2022年度大会参戦車両)
2022年度車両「CF22」はマシンコンセプトを「確実な走りとドライバビリティ」に定め、全動的種目の完走を目標にしました。フレームをはじめ、多くのパーツで設計変更を施し、確実な車検通過および完走への信頼性の向上を図りました。また、新規ドライバーでの参戦を考慮し、扱いやすい特性のパワートレインやサスペンションへと改善し、ドライバビリティの向上を目指しました。
◆マシンの特徴
シャシー
治具から設計を見直し、フレームを定盤から持ち上げて作ることの出来る治具を採用し、溶接難易度の易化や製作時間の減少を達成しました。また、サスペンションの取り付け点においても変更を施し、製作性や整備性を向上させアームの整備やセッティング変更の時間短縮を達成しました。
パワートレイン
トルクカーブの再分析を行い、各回転数領域の使用頻度や官能評価等からドライバビリティの向上余地を洗い出し、吸気管長の変更によって対処しました。また、走行データやパーツ自体の性能といった観点から複合的に判断し、ウォーターポンプの縮小化を行い、499g の軽量化を達成しました。シェイクダウン後には、ペダル反力やシフトレバーポジション等の操作系にも力を入れ、試験によってより扱いやすいものとする事でドライバビリティを向上させました。
エアロデバイス
ルール変更に適応させつつもダウンフォースを得ることが出る形状を考案しました。また、サイドウィングはダウンフォースを稼ぎつつも改良を施すことで、整備性を向上させました。加えて、車両下面を流れる空気に着目し、フロアパンを最下面に這わせるように設けることで、空気の整流を図りました。また、フロントカウルをカーボンにより作製し、軽量化、高剛性化を達成しました。
CF22主要諸元
全長 / 全幅 / 全高 | 3144mm / 1441mm / 1176mm |
ホイールベース | 1800 mm |
前/後 トレッド | 1200mm / 1200mm |
車重 | 272kg (60kgDriver) |
エンジン | YAMAHA YZF-R6 |
排気量 | 599cc |
フレーム | スチールスペースフレーム |
カウル | CFRP |
サスペンション | 不等長・非平行ダブルウィッシュボーン,プルロッド式 |
変速機 | 機械式シフト |
ホイール | F : 10inch 8J Braid R : 10inch 8J Braid |
タイヤ | F : Hoosier 16.0×7.5-10 R25B R : Hoosier 18.0×7.5-10 R20 |
CF21 (2021年度公式記録会参戦車両)
2020・2021年度車両「CF21」は今までの車両の長所である加速性能をさらに伸ばしつつ、周回コースで必要な「旋回性能とドライバビリティの追求」というコンセプトのもと、2020年から車両の設計、製作に取りかかりました。
◆マシンの特徴
シャシー
旋回性能向上のため更なる軽量化を目指し、タイヤサイズの再検討とトレッド縮小によるドライバビリティ向上
パワートレイン
駆動力の向上とドライバビリティの改善
エアロデバイス
新たなエアロデバイスであるサイドウィングの搭載によるマシン全体での空力性能の向上と解析精度向上
をそれぞれテーマとして車両の設計を行いました。
CF21主要諸元
全長 / 全幅 / 全高 | 2945mm / 1520mm / 1195mm |
ホイールベース | 1800mm |
前/ 後 トレッド | 1200mm / 1200mm |
車重 | 270kg (60kgDriver) |
エンジン | YAMAHA YZF-R6 |
排気量 | 599cc |
フレーム | スチールスペースフレーム |
カウル | GFRP |
サスペンション | 不等長・非平行ダブルウィッシュボーン,プルロッド式 |
変速機 | 機械式シフト |
ホイール | F: 10inch 6J Braid R: 10inch 8J Braid |
タイヤ | F: Hoosier 16.0×7.5-10 R25B R: Hoosier 18.0×7.5-10 R25B |
CF20 (Covid-19の影響で大会中止)
CF19 (2019年度大会参戦車両)
アクセラレーションにおいて日本記録 (3.995 s , 2018-2022)を記録しました
2019年度車両「CF19」は今までの車両の長所を伸ばし、また設計が煮詰められていない箇所を一つ一つ潰していくことで車両全体のレベルを向上させ、大会コースにて必要な「旋回性能とドライバビリティの追求」を図りました。また更なる軽量化を行い、218kg だった車重から 210kg へ軽量化を行いました。
◆マシンの特徴
シャシー
小径タイヤを検討しドライビングポジションを下げ40㎜の低重心化を行いました。また小径タイヤの採用に伴いホイールルーム内を再検証しアップライトを製作しました。全体で軽量高剛性を意識し、アルミ削り出しのバルクヘッドを採用するなどし、フレームはねじり剛性を担保しつつ、1kgの軽量化を達成しました。
パワートレイン
駆動力の向上とドライバビリティの改善を図りました。吸排気の設計を見直し、ピークトルクを500rpm低回転化させ、最高出力を向上させました。また出力に影響のない範囲で管長を短くすることで軽量化も行いました。
エアロデバイス
フロントウイングをばね上に取り付け、昨年度リタイア原因であった路面干渉を避けました。また全体で製法を見直し、2kgの軽量化を達成し、CFRP製品の表面もなめらかに仕上げることができました。
CF19主要諸元
全長 / 全幅 / 全高 | 2945mm / 1520mm / 1195mm |
ホイールベース | 1800 mm |
前/後 トレッド | 1275mm / 1275mm |
車重 | 270kg (60kgDriver) |
エンジン | YAMAHA YZF-R6 |
排気量 | 599cc |
フレーム | スチールスペースフレーム |
カウル | GFRP |
サスペンション | 不等長・非平行ダブルウィッシュボーン,プルロッド式 |
変速機 | 機械式シフト |
ホイール | F: 10inch 6J Braid CFRP R: 10inch 8J Braid |
タイヤ | F: Hoosier 16.0×7.5-10 LC0 R: Hoosier 18.0×7.5-10 R25B |
CF18(2018年度大会参戦車両)
2018年度車両「CF18」は今までの車両の長所を伸ばし、短所を消していくことで車両全体のレベルを向上させることで大会コースにて必要な「旋回性能とドライバビリティの追求」を行ってきました。また、今までのマシンで不十分であった軽量化にこだわり、250kg だった車重から 217kg へ軽量化を達成しました。
◆マシンの特徴
シャシー
アライメント剛性を高めることで旋回性能の向上を図りました。また、より小型で軽量なステアリングラックの採用などで大幅に軽量化しました。
サスペンション
幅広いセッティングを実現可能にし、多くの走行機会を設けて周回走行用とスキッドパッド用にわけてセッティングを最適化していきました。
パワートレイン
排気系と駆動系の設計を同時に行うことで、ピークトルクを低回転側に移行と中回転域のトルクの谷を大幅に改善を行い加速性能とドライバビリティの向上を達成しました。
エアロデバイス
昨年度同様に旋回性能の向上に必要なダウンフォース獲得のために、車両姿勢にとらわれないバネ下ウイングを採用しました。今年度は更なるダウンフォースを獲得することはもちろんのこと、旋回中のウイング姿勢に着目し開発を行いました。
CF18 主要諸元
全長 / 全幅 / 全高 | 2945mm / 1520mm / 1195mm |
ホイールベース | 1800mm |
前/後 トレッド | 1275mm / 1275mm |
車重 | 277kg (60kgDriver) |
エンジン | YAMAHA YZF-R6 |
排気量 | 599cc |
フレーム | スチールスペースフレーム |
カウル | GFRP |
サスペンション | 不等長・非平行ダブルウィッシュボーン,プルロッド式 |
変速機 | 機械式シフト |
ホイール | F: 10inch 6J Braid CFRP R: 10inch 8J Braid |
タイヤ | F: Hoosier 16.0×7.5-10 LC0 R: Hoosier 18.0×7.5-10 R25B |
CF17 (2017年度大会参戦車両)
2017 年度車両「CF17」は前年度マシン「CF16」で得られたデータを生かし、動的審査で表彰台を目指すために旋回性能とトラクションの追求に焦点をあて、開発を進めていきました。
◆マシンの特徴
シャシー
ロール剛性とダンパーを見直すことで転舵の応答性を向上させました。また、ロール剛性の改善とエアロデバイスの搭載によるグリップの増加でボトムスピードの向上を図り、ロック率の大きいディファレンシャルギアとダンパーによりトラクションがかかりやすくなるようにしました。ダンパーは減衰力が大きく調整可能なものを採用することによって、実走行やドライバーの好みに合わせたセッティングが可能になりました。
パワートレイン
シャシーダイナモでの計測から判明した大きなトルクの谷の改善を制御により行いました。また、径の大きいスロットルを見直し、小径スロットルにすることで、ドライバーが意図する加速を可能にしました。
エアロデバイス
全体のボトムスピードの向上と旋回中のグリップの増加による旋回性能の向上に寄与し、マシンの動的性能を大幅に改善しました。バネ下に搭載したことで、バネ上とは別の動きをするため、サスペンションセッティングの自由度を増やすと同時に、フロントウイングを低い位置に搭載することができました。
CF17 主要諸元
全長 / 全幅 / 全高 | 3045mm / 1520mm / 1195mm |
ホイールベース | 1800mm |
前/後 トレッド | 1275mm / 1275mm |
車重 | 310kg (60kgDriver) |
エンジン | YAMAHA YZF-R6 |
排気量 | 599cc |
フレーム | スチールスペースフレーム |
カウル | GFRP |
サスペンション | 不等長・非平行ダブルウィッシュボーン,プルロッド式 |
変速機 | 機械式シフト |
ホイール | 10inch 8J Braid |
タイヤ | Hoosier 18.0×7.5-10 R25B |
CF16 (2016年度大会参戦車両)
2016年度車両「CF16」はCar×Funをコンセプトに,スピード感,一体感,安心感の3点に注目して, ドライバーが全力で限界を攻められる車両を目標に開発を行いました.シャシーを前年度から大きく変更し,10inchタイヤ,ロングホイールベース,リアヘビーな重量配分を採用しました.車体の小型化に取り組み大幅にヨー慣性モーメントを削減しました.
◆マシンの特徴
シャシー
サスペンション部品をアルミ削り出しで製作し,軽量高剛性としました.オリジナルのブレーキディスクを設計し搭載しました.10inchタイヤへの変更を含めて,一輪あたり約3kgのばね下重量の軽量化をしました.全力走行中も素直に動き, 限界がわかりやすいマシンとなるようなサスペンションジオメトリおよびセッティングを目指しました
フレーム&ボディ
熱害対策,ペダル類の構造変更などによって各部品の省スペース化を行うことで,ドライバーの操作性を損なわずにフレームの全長を400mm短縮しました .フレームのパイプ配置を見直すことで重量を前年比の94%の軽量化と,200%の高剛性化をしました.
パワートレイン
3Dプリンターを用いて吸気系を製作しました.3Dプリンターによって自由度が高まったことで,流体解析と強度解析で得た高性能な形状を実現できるようになりました.厳しくなった騒音規制に対応するためにサイレンサーを変更し,消音性能と高出力の両立をしました.シフト操作では電子制御によるアシストを行うことで,ペダル操作をせずに0.04秒でシフトチェンジが可能になりました.
エクステリア
オーバーハングが短い車体の特徴を生かしたカウルとしました.また,戦闘機の主翼をイメージしたサイドポンツーンを前方へ傾斜させスピード感を表現しました.走行会用カウルと大会用カウルを作ることで,大会用に美しく滑らかな塗装をしたカウルを用意できました. 大会後には,ばね下にフロントウイングとリアウイングを搭載し,空力にも着手しました.
CF16 主要諸元
全長 / 全幅 / 全高 | 2480mm / 1520 mm / 1200mm |
ホイールベース | 1800mm |
前/後 トレッド | 1275mm / 1232mm |
車重 | 300kg (60kgDriver) |
エンジン | YAMAHA YZF-R6 |
最大出力 | 58kW@11500rpm |
最大トルク | 55[Nm]@8500rpm |
排気量 | 599cc |
フレーム | スチールスペースフレーム |
カウル | GFRP |
サスペンション | 不等長・非平行ダブルウィッシュボーン,プルロッド式 |
変速機 | 機械式シフト |
ホイール | 10inch 8J Braid |
タイヤ | Hoosier 18.0×7.5-10 |
CF15 (2015年度大会参戦車両)
2015年度車両「CF15」は「Car×Fun~モータースポーツに参加する魅力をより多くの人に~」というコンセプトのもと、モータースポーツに参加する魅力をより多くの人に伝え体感させられる車両とは、運転する喜び(ドライバー)、 チューニングする喜び(メカニック)、 勝利する喜び(チーム)をもたらす車両であると考え、開発を行いました。
◆マシンの特徴
シャシー
昨年度マシン搭載パーツに細かいアップデートを重ね、 ドライバーの思うままに操ることのできるマシンを目指しました。スタビライザーやアップライトに調整機構を設け、様々なセッティング変更を可能にします。従来の3ペダル方式から2ペダル方式に変更し、クラッチレバーをステアリング付近に置くことで、ペダル周りに余裕ができるため整備性が大きく向上します。 また、重量物のレイアウトを見直すことにより車高を落とし、更なる低重心化を目指しました。
パワートレイン
引き続き YAMAHA YZF-R6 のエンジンを搭載し、microtec の汎用 ECU を用いて制御を行います。 主に排気騒音問題の解決に取り組みました。レギュレーションや マシンレイアウトを考慮したうえで、新たな排気システムに適したサイレンサーを選定しました。
CF15 主要諸元
全長 / 全幅 / 全高 | 2480mm / 1500mm / 1195mm |
ホイールベース | 1750mm |
前/後 トレッド | 1300mm / 1300mm |
車重 | 315kg(60kgDriver) |
エンジン | YAMAHA YZF-R6 |
最大出力 | 77ps@11400rpm |
最大トルク | 55[Nm]@8500rpm |
排気量 | 599cc |
フレーム | スチールスペースフレーム |
カウル | GFRP |
サスペンション | 不等長・非平行ダブルウィッシュボーン,プルロッド式 |
ショックアブソーバー | Penske monotube damper |
変速機 | 電磁シフター |
タイヤ | Hoosier 20.5×7.0-13 R25B |
CF14 (2014年大会参戦車両)
2014年度車両「CF14」はCF13のコンセプト「Car×Fun」を引き継ぎ, 信頼性・整備性・生産性、の達成により誰でも運用でき、 高いドライバビリティと豊富なセッティングにより、ドライバーとエンジニアのどちらにも 楽しめる車両を目指して開発を行いました。
◆マシンの特徴
シャシー
ばねレート、ロール剛性、およびブレーキバランスに注目して開発を行い、 4輪の接地性が大きく改善し、急激な姿勢変化を抑制しました。これにより、旋回で0.05G、減速で0.26G向上しました。 フレームやサスペンションアームを中心に各部品で設計、加工法、および治具の見直しを行い生産性が向上しました。 ペダルユニットやステアリングなどドライバーが触れる部品は高剛性化に取り組み、操作性の改善を行いました。
パワートレイン
吸気系の改善により開発初期段階から、10%出力を向上させました。 また、以前から付いていながら有効に活用できていなかった電磁シフター、トラクションコントロール、およびローンチコントロールを 有効に機能させました。ターボ車だったCF13に出力は及びませんが、電子制御の改善により、 アクセラレーションのタイムを0.35[s]短縮できました。また、排気系、燃料系、オイルパンの改善により低重心化に寄与しました。
CF14主要諸元
全長 / 全幅 / 全高 | 2480mm / 1402mm / 1196mm |
ホイールベース | 1600mm |
前/後 トレッド | 1200mm / 1200mm |
車重 | 300kg (乗車時) |
エンジン | YAMAHA YZF-R6 |
最大出力 | 78ps@11500rpm |
最大トルク | 55[Nm]@8500rpm |
排気量 | 599cc |
フレーム | スチールスペースフレーム |
カウル | GFRP |
サスペンション | 不等長・非平行ダブルウィッシュボーン,プルロッド式 |
ショックアブソーバー | Penske monotube damper |
変速機 | パドルシフト 電磁シフター |
タイヤ | Hoosier 20.5×7.0-13 R25B |
CF13 (2013年度大会参戦車両)
2013年度車両「CF13」は大幅変更をしたCF12のコンセプト「Car×Fun~車の楽しみをすべての人に~」を引き継ぎ, サーキット走行を通してタイムを追求する喜び、操作する楽しさを味わってもらえる車両を目指しました。 基本的には CF12 の正常進化・洗練を目標としました。
◆マシンの特徴
シャシー
ロガーデータでも確認された、後輪のインリフトおよび制動時の後輪荷重の抜けを解消することを第一目標として定めました。また、新規パーツを設計する際には、大会最重量級であった CF12 の反省点から軽量化を目標とするとともに、 加工時間・生産コストが可能な限り小さくなるようにしました。
パワートレイン
加速性能の向上を目指しました。ターボをRHF3型から大型化しRHF4に変更することで 排気抵抗を削減し、高回転での充填効率の向上を図りました。結果、CF12 の 67PS@10400rpm から大きく向上し、91PS@10800rpm となりました。汎用ECUで制御することにより、 燃料・進角の最適化および燃料カットによる燃費向上を図りました。3Dプリンタを用いて インテーク部品を製作することによる気筒間格差の削減と信頼性向上に取り組みました。
CF13主要諸元
全長 / 全幅 / 全高 | 2800mm / 1394mm / 1196mm |
ホイールベース | 1600mm |
前/後 トレッド | 1200mm / 1200mm |
車重 | 330kg (乗車時) |
最低地上高 | 36mm |
エンジン | YAMAHA YZF-R6 |
最大出力 | 91ps@11500rpm |
最大トルク | 59[Nm]@8500rpm |
排気量 | 599cc |
フレーム | スチールスペースフレーム |
カウル | GFRP |
サスペンション | 不等長・非平行ダブルウィッシュボーン,プルロッド式 |
ショックアブソーバー | Tanner G2 |
変速機 | パドルシフト 電磁シフター |
タイヤ | Hoosier 20.5.x7.0-13 |
CF12(2012年度大会参戦車両)
2012年度車両「CF12」は 車両のコンセプトを「Car×Fun~車の楽しみをすべての人に~」とし, あらゆる人がこの車両を通してドライビングやエンジニアリング等のなにかしらのクルマ,競技車両ならではの楽しみを見つけられる車両を目指した。コンセプト達成に必要なのは魅力的な車両である。昨年度出たクルマとしての問題を潰すことに加え,セッティングに幅を持たせることなどを目指し,以下のように諸元を決定。さらにシャシー側,パワートレイン側からのアプローチを決めた。
◆マシンの特徴
シャシー : 鋭い回頭生
シャシーに関しては、あらゆるコーナーにおいて、旋回性能の向上を目指す。具体的にはサスペンションジオメトリの改良やパッケージングレイアウトの見直しによるマスの中心化、低重心化を図る。 また、昨年度マシンにおいてオーバースペックと思われる個所を再検討し、フレーム構成パイプ径やブレーキディスク径等を見直すことにより、マシンの軽量化も同時に行う。 さらに、ドライビングスタイルに合わせたステアリングホイールへと変更、タイヤトレッドの拡大によるメカニカルグリップ向上、アンダーパネル搭載によるダウンフォース確保等、旋回性能の向上に様々な角度からアプローチする。 また,各ドライバーに合わせたマシンを提供するためにセッティング幅の拡大を目標としています。
パワートレイン : 圧倒的な加速感
今年度のエンジン系統の開発の基本として大会競技コースで考えられる低・中負荷の最適化を目標としています。
パワートレインに関しては、加速性能の向上を図る。エンジンをYAMAHA YZF-R6 に変更し、さらにターボチャージャーを組み合わせ、汎用ECU で制御することにより低回転域からトルクを発生させる。 これにより、低速コーナーの多いエンデュランスコースにおいて、コーナー立ち上がりでのタイム短縮と燃費改善が期待できる
操作 ,制御系統 : ドライバーフレンドリー
インテリアに関しては、ドライバビリティの向上を意識する。 多くの人が慣れ親しんでいる3ペダルや、肩まで包み込みホールド性のあるシートでドライバーの操作環境をサポートする。 シフトは電磁式パドルシフトを採用し、さらに昨年度不完全に終わってしまったフラットシフトシステムも完成させ、初心者から上級者まで心置きなくタイムアタックできるマシン目指す。 また、データロガーによって、車速や前後左右G、ブレーキ液圧、ステアリング舵角等のデータを記録、分析することで個々のドライビングスタイルに合ったセッティングを実現する。
CF12主要諸元
全長 / 全幅 / 全高 | 2800 mm / 1403.2 mm / 1196.3 mm |
ホイールベース | 1600mm |
前/後トレッド | 1200 mm / 1200mm |
車重 | 330kg |
最低地上高 | 36mm |
フレーム | スチールスペースフレーム(STKM) |
カウル | GFRP |
エンジン | YAMAHA YZF R-6 |
排気量 | 599cc |
サスペンション形式 | 不等長・非平行ダブルウィッシュボーン・プルロッド |
ショックアブソーバー | Kind shock CX1.0 |
タイヤ | 20.5×7.0-13 R25A Hoosier bias |
ブレーキ | 前 2-アウトボード / 後 2-アウトボード/ キャリパー:Nissin |
最大出力 | 97ps/9000rpm |
最大トルク | 60Nm/7500rpm |
変速機 | 6速シーケンシャルMT |
デファレンシャル | F.C.C. ATV 用LSD |
CF11(2011年度大会参戦車両)
昨年度はシェイクダウンの遅れにより、ドライバーによる車両評価を十分に行うことができず、車両の性能を十分に発揮できていないことが問題点でした。よって車両の性能を発揮するためにドライバーを主眼に置いた「Driverbilityの向上」を今年度の設計コンセプトとしました。
◆マシンの特徴
シャシー:最適化
今年度は各パーツの設計段階からドライバーを意識し,昨年度あげられた問題点に対して対処することで,走行時のドライバーへの負担を軽くすることを目標としました。また,各ドライバーに合わせたマシンを提供するためにセッティング幅の拡大を目標としています。
パワートレイン:最適化
今年度のエンジン系統の開発の基本として大会競技コースで考えられる低・中負荷の最適化を目標としています。昨年度の大会走行データの検証により高負荷(アクセル全開)による走行時間が少ないことに着目し、 高負荷での出力を抑えてでも低・中負荷また過渡域に主眼を置くべきだと考えました。
CF11主要諸元
全長 / 全幅 / 全高 | 2770 mm / 1385 mm / 1196 mm |
ホイールベース | 1600mm |
前/後トレッド | 1200 mm / 1200mm |
車重 | 252kg |
最低地上高 | 36mm |
フレーム | スチールスペースフレーム(STKM) |
カウル | GFRP |
エンジン | HONDA PC37E (CBR600RR) |
排気量 | 599 cc |
サスペンション形式 | 不等長・非平行ダブルウィッシュボーン・プルロッド |
ショックアブソーバー | KUWAHARA CX1.0 |
タイヤ | 20.5×6.0-13 R25A Hoosier bias |
ブレーキ | 前 2-アウトボード / 後 2-アウトボード/ キャリパー:Nissin |
最大出力 | 55kw(11500) |
最大トルク | 59Nm(7000) |
変速機 | 6速シーケンシャルMT |
デファレンシャル | F.C.C. ATV 用LSD |
CF10(2010年度製作車両)
昨年度の製作車両は旋回性能の向上を目標として設計を行い、さらに汎用ECU やデータロガーを導入 することで、車両の評価を行うことが出来るようになりました。2010年度車両「CF10」は「運動性能の向上」を設計コンセプトとしました。
◆マシンの特徴
シャシー:旋回性能の向上
旋回性能の向上を目指し次の事項に主眼を置き設計を行いました。
・サスペンションのセッティング幅拡大
・軽量化及びヨー慣性モーメントの低減
・足回りの剛性の向上
今年度はすでに導入されているスタビライザーに加えバネ定数の異なる複数のショックアブソーバを 用意しました。これによりセッティング幅の拡大を狙い、テストの際に変更可能なパラメータを増やし、 ドライバーや競技に最適な設定を探しました。新規に設計するパーツには目標重量を定め車両の軽量化を目指し、設計の際にはFEM 解析を積極的 に用い構造を決定しました。また、パーツのレイアウトを変更しフレームの前後長及びメインフープの 幅を短縮し車両の小型化を図りました。前年度までの課題であったサスペンションの取り付け点についても構成要素のレイアウトの変更によ りフレームの集合部付近に取り付けることが可能となり、サスペンションからの入力に対する剛性を向 上させました。サスペンションジオメトリは昨年度の車両の旋回G やドライバーの感覚が良いものであ ったため、昨年度の仕様を踏襲しました。
パワートレイン:競技コースへの最適化
今年度は昨年度に搭載したデータロガーから得た情報をパワートレインの設計にフィードバックすることで最適化を図りました。今年度のパワートレインの特徴は次の通りです。
・10000rpm をピークとしたフラットな出力特性
・汎用 ECU による各気筒の独立制御
競技コースは低速コーナーが多数配置され、そこからの立ち上がりが重要となります。
そこでエンジンの出力特性がフラットになるように吸排気系の設計を行いました。昨年度、汎用ECU の導入によりエンジンの幅広いセッティングが可能となり、エンジンの出力を向上させた一方で、制御性能の向上により、パワートレインの問題点が明らかとなりました。 これらの問題の解決により更なるエンジン性能の向上を図りました。
CF10主要諸元
全長 / 全幅 / 全高 | 2516mm / 1394mm / 1190mm |
ホイールベース | 1600mm |
前/後トレッド | 1200mm / 1200mm |
車重 | 250kg |
最低地上高 | 36mm |
フレーム | スチールスペースフレーム(STKM) |
カウル | GFRP |
エンジン | HONDA PC37E (CBR600RR) |
排気量 | 599 cc |
サスペンション形式 | 不等長・非平行ダブルウィッシュボーン・プルロッド |
ショックアブソーバー | KOWA ZEST |
タイヤ | 180/510-13 BRIDGESTONE Bias |
ブレーキ | 前 2-アウトボード / 後 2-アウトボード/ キャリパー:Nissin |
最大出力 | 85ps/10500rpm |
最大トルク | 5.7kgf/9000rpm |
変速機 | 6速シーケンシャルMT |
デファレンシャル | F.C.C. ATV 用LSD |
チフ509(2009年度製作車両)
2009年度車両「チフ509」は、「For the Stability~旋回性能の向上~」を車両コンセプトとし、思い切ったブレーキングとアクセルワークを可能にし,乗りやすく攻められる,ドライバーにフィットしたレーシングカーを追及します。 挙動の乱れを最小限に抑え,安定感のある走行を目指します。昨年度大会の車両の分析を行い、アクセラレーション,スキッドパッド,オートクロス,エンデュランスのタイムを上位校と比較した結果,周回走行におけるコーナーでのタイム差が大きいことがわかりました。さらに,ドライバーの意見によると『一次旋回におけるブレーキングが探り探りで,特に低速コーナーで車の向きが変わりにくく,アクセルを中途半端に開けている時間が長い。 またコーナリングの限界も低く,二次旋回で安心してアクセルを踏めない』という意見がありました。そこでコーナーにおける旋回性能の向上に的を絞り,09 年度の車両製作を行いました。
◆マシンの特徴
基本性能の向上
・ コーナーでの旋回性能を向上させるためには足回りの強化が必須となります。 スタビライザーを導入しロール剛性を前後で変え,左右の荷重移動量の調整を可能とすることでセッティングの幅を広げます。またコイルスプリング最適化,ショックのメンテナンスを行い安定性の向上をはかります。
・ 本年度はレギュレーションの変更によりフロントセクションが大きく変わります。 特に,フレームの大幅な設計変更を余儀なくされています。 十分な解析を行い,軽量かつ剛性のあるフレームを目指します。 また,昨年度はシフトによるタイムロスがみられたので“節度感のあるシフト”を目指し,シフト-クラッチ一体型のフロア式シフトを採用しタイムアップにつなげます。
信頼性の向上
・ 昨年度はウエットサンプを採用しておりましたが,潤滑不良によりエンジンの焼付きが起こっていました. エンジンの搭載位置を下げるため,オイルパンをカットし,バッフルプレートや蝶番による弁を取り付ける工夫を行っていました。 しかしながら,一定以上のG がかかるとエンジンオイルの潤滑がうまくいかず,コンロッドのメタルが焼きついていました。試走会などで想定以上の横G がかかると,焼付き,修理することを繰り返していました。エンジンの修理には多くの時間とお金を浪費し,チームに負担がかかりました。
・ そのため,潤滑不良を無くすためにドライサンプ化を行います。 外部にオイルタンクを置きオイルを吸引することで,オイルパン内を負圧にしてエンジンオイルを潤滑させるシステムです。 これにより,どのコースでも安心して走行できるようになります。 また,余分なオイルがエンジン上部に溢れるのを防ぎ,重量の偏りを低減し,馬力を上げることができます。 さらに,オイルパンを小型化することができるのでエンジンの搭載位置を下げ,低重心化をはかることも可能です。
車両の評価
今までは車両の評価をドライバーのフィーリングとタイム計測で行っていました。 必ずしも乗りやすい車が速いわけではなく,客観的な分析を必要としていました。 また設計時にはサスのストローク量やブレーキ圧,Gが必要となります。 今までは計算式や参考値でおおよその値を見積もり,繰り返し解析するという手法をとっていました。 さらに,旋回時におけるG と油圧の測定はエンジンオイルの潤滑にとっても重要な指針となります。センサーにより必要な情報を測定し,車両にロガーを搭載することでデータ収集を行います。 集めたデータを分析し,設計,セッティングに活用します。
チフ509主要諸元
全長 / 全幅 / 全高 | 2700mm / 1394mm / 1115mm |
ホイールベース | 1600mm |
前/後トレッド | 1200 mm / 1200mm |
車重 | 240kg |
最低地上高 | 50mm |
フレーム | スチールスペースフレーム(STKM) |
カウル | GFRP |
エンジン | HONDA PC37E (CBR600RR) |
排気量 | 599cc |
サスペンション形式 | 不等長・非平行ダブルウィッシュボーン・プルロッド |
ショックアブソーバー | KOWA ZEST |
タイヤ | 180/510-13 BRIDGESTONE Bias |
ブレーキ | 前 2-アウトボード / 後 1-インボード/ キャリパー:Nissin |
最大出力 | 55kw/11500rpm |
最大トルク | 59Nm/7000rpm |
変速機 | 6速シーケンシャルMT |
デファレンシャル | F.C.C. ATV 用LSD |
チフ408(2008年度製作車両)
2008年度車両「チフ408」は、CUFPが製作する4台目の車両になります.設計コンセプトの「RED-ability」は「Reliability」,「Enjoyability」,「Drivability」の3つの能力を表しています。
■「Reliability」=「信頼性」
どんなに速くてもゴールまでたどり着くことができなければ意味のないレースにおいて,どのような状況下でもマシンにトラブルが発生しないことは絶対条件です。2007年度に電装系トラブル,潤滑系トラブルで悩まされた反省を活かし,ドライバーに一切の不安を感じさせない,高い信頼を目標に製作します。
■「Enjoyability」=「楽しさ」
多くのドライバーにとって走行性能以外にも,乗る楽しみ,いじる楽しみ,見る楽しみといった楽しさは重要です.具体的には,充実したセッティング項目,良好な整備性や各部の機能美を追求します。
■「Drivability」=「操作性」
確実に速くゴールするために必要なものは運動性能と信頼性のあるマシンだけではなくドライバーの正確なドライビングが重要になります.これまでCUFPはワイドトレッド・ロングホイールベースと広いドライバースペースを特徴とする設計を行ってきました.今年度はよりテクニカルなコースにも対応する設計とし,走行ラインの自由度を高めるために車両サイズを縮小させつつ,十分なドライバースペースを確保することを高い次元でバランスさせます。
◆マシンの特徴
フレーム
・Reliability
剛性を追求することで,ドライバーの信頼を得ることを目標とします。
・Enjoyability
耐火板とシートを一体構造とし,それらが簡単に取り外し可能な構造にすることで整備性を追及します。また,内装の美しさにも力を入れ,ユーザーの満足度を高めます。
・Drivability
十分なドライバースペースを確保することで,ドライバーが確実に操作を行えるコックピットにします。
サスペンション
・Reliability&Enjoyability
整備・セッティングが容易に行える構造を考えます。
・Enjoyability&Drivability
リアブレーキをホイールの中ではなく車両中央に配置することで,整備性が向上するほかバネ下荷重の大幅な軽減が可能になります。
パワートレイン
・Reliability
安易にドライサンプ化をせず,オイルパンの構造を研究開発することで低コストかつ高信頼のエンジンに仕上げます。
・Enjoyability
フォーミュラカーの排気管は外観を大きく左右するパーツです。各部の美しさを追及するというコンセプトから,今年度はステンレス製の排気管を製作します。
・Drivability
スロットルボディ,およびインテイクマニホールドを研究開発することで,より優れたレスポンスを実現し,ドライバーの意図に忠実に反応するエンジンを目指します。
エクステリア
Enjoyability
外観を最も大きく左右するパーツがカウルです。CUFPでは2006年度以降,廃棄処分が困難で環境負荷の大きいFRPを極力排除し,代わりにアルミニウムを用いてカウルを製作しています。薄いアルミで強度を保ち,かつ美しい曲面を出す方法を考え,どの点でもFRPに負けないカウルにすることを目標としています。
チフ408主要諸元
フレーム | スチールスペースフレーム(STKM) |
ボディ | アルミ |
サスペンション形式 | 不等長・非平行ダブルウィッシュボーン・プッシュロッド |
ホイールベース | 1700mm |
車重 | 220kg |
最低地上高 | 45mm |
タイヤ | BRIDGESTONE 180/510 R13 |
ブレーキ | F:2アウトボード、R:1インボード |
エンジン | HONDA PC37E (600cc) |
最大出力 | 75ps/11000rpm |
最大トルク | 8.0kgm/9000rpm |
変速機 | 6速シーケンシャルMT |
駆動形式 | チェーン・ATV用LSD |
チフ307(2007年度製作車両)
レーシングカーに求められるものは,「走る・曲がる・止まる」の基本性能が高いこと,軽量・高剛性な車体である事,低重心,低慣性モーメントとなるような部品のレイアウトであることが挙げられる。これまでの千葉大学車両が追求してきた,ロングホイールベース,ワイドトレッドという特徴を生かした操縦安定性の高いサスペンション,低重心レイアウト,軽量化だけではなく耐久性を重視した部品設計は,前述したレーシングカーにとっての必要項目を満たしつつ,コースを高い速度域で安定して周回できる車両を狙ったものだった。今年度はこれらを踏まえつつ,もう一歩踏み込んだ開発を行う。
自動車が,人が運転して動かすものである以上,運転者と自動車のつながりは,自動車の重要な性能の一つである。特に,モータースポーツにおいてはドライバーが運転技量を発揮できることが重要になる。
新型車両には,運転者の操作に素直な操縦性,適切なドライビングポジションを確保したコックピット,操作性や視界の良さ,高い剛性を確保したフレーム等々を盛り込む。それらはすべて,ドライバーに決して不安感を与えず,ドライバーに運転技量を十分に発揮させるためのものである。
それが目指すものは,車両の総合性能が最も試されるエンデユランス競技において勝つための車両である。
今年度,我々は「レーシングマシンを操作するのはドライバーである 」という基本に立ち返って,これらの要求性能を高次元で両立させつつもパッケージングとして破綻のないフォーミュラカーを開発する。
◆マシンの特徴
3面図
チフ307主要諸元
フレーム | スチールスペースフレーム(STKM) |
ボディ | アルミ |
サスペンション形式 | 不等長・非平行ダブルウィッシュボーン |
ホイールベース | 1700mm |
車重 | 245kg |
最低地上高 | 45.7mm |
タイヤ | BRIDGESTONE 180/510 R13 |
ブレーキ | F.R アウトボード |
エンジン | HONDA CBR600RR |
最大出力 | 70ps/11000rpm |
最大トルク | 4.8kgf/9000rpm |
変速機 | MTパドルシフト |
駆動形式 | チェーン・機械式LSD |
チフ206(2006年度製作車両)
チフ206はCUFPが製作する2台目の車両になります。設計コンセプトは「Clam and Zeal」、日本語で「冷静と情熱」を意味し、高い信頼性と運動性能を併せ持った車両をイメージしたものです。また今年度の車両は去年の反省を生かし、リサイクル性ということも考慮しました。このコンセプトにかなう車両を作るために次の三点を設計目標としました。
◆マシンの特徴
運動性能&信頼性
レーシングカーの目的は速く壊れずに決まったコースを完走させることです。高い運動性能を持つために軽量、低重心の車両づくりを心がけつつも過度の肉抜きなどのマシンの信頼性を損なうような設計は行なわず、確実にチェッカーフラッグを受けることのできるマシン作りを目指しました。
運転しやすさ
確実に速くゴールするために必要なものは運動性能と信頼性のあるマシンだけではなくドライバーの正確なドライビングが重要となってきます。そこで操作の容易さはマシンの運動性能、信頼性を実際に引き出すための重要なファクターと考えドライバーが操作しやすい操作系とすることを心掛けました。
リサイクル性
資源の有効活用を考えなければならない現在においては使用する材料を再利用しやすいものにする必要です。これはレーシングカーにおいても例外ではないと考え廃棄処分の難しい、FRP製パーツの使用を極力おさえ、代わりに再利用しやすいアルミニウムを多く使用することで車両重量の増加を抑え、車両を廃棄処分する際のリサイクルのし易さにも配慮しました。
チフ105主要諸元
ホイールベース | 1700mm |
前/後 トレッド | 1200mm / 1200mm |
車重 | 305kg(乗車時) |
最低地上高 | 45mm |
エンジン | HONDA CBR600RR |
最大出力 | 75ps/11000rpm |
最大トルク | 7.2kgm/9000rpm |
フレーム | スチールスペースフレーム |
カウル | GFRP |
サスペンション | 不等長・非平行ダブルウィッシュボーン |
変速機 | MTパドルシフト |
タイヤ | BRIDGESTONE 180/510 R13 |
チフ105 (2005年度製作車両)
参戦1年目となる2005年度CUFPは,第3回全日本学生フォーミュラ大会出場を目指して昨年8月に初めてFormula SAER準拠のマシンの製作に取り組みました。Formula SAEの競技会コンセプトには,「The intended SALES MARKET is the nonprofessional weekend autocross racer」と記載されています。そこで私たちは市場を常に意識した「ユーザー志向型のマシン」をキーコンセプトに掲げました。
◆マシンの特徴
Total Balance
モータースポーツでの,一番の醍醐味は自らが操縦し,思いのままに操ることができることであると考えました。自らが思い描いた動作を実現するため,特に旋回性能を重視しました。
Design
モータースポーツにおいても,マシンの性能だけでなく外観も車を選ぶ上での重要な要素であると考えました。そこで,機能と美しさを両立したマシンを設計しました。
Maintenance
左図に示すハブユニットを使用するなど,部品点数を削減し構造を簡単にすることで,ユーザーが気軽にメンテナンスできる車両を設計しました。
チフ105主要諸元
ホイールベース | 1700mm |
前/後 トレッド | 1200mm / 1200mm |
車重 | 330kg (乗車時) |
最低地上高 | 50mm |
エンジン | HONDA CBR600RR |
最大出力 | 40ps/9000rpm |
最大トルク | 3.2kgm/6500rpm |
排気量 | 599cc |
フレーム | スチールスペースフレーム |
カウル | GFRP |
サスペンション | 不等長・非平行ダブルウィッシュボーン |
変速機 | MTパドルシフト |
タイヤ | BRIDGESTONE 180/510 R13 |